とある日の朝ごはんと野良猫

いつもの朝ごはんを食べにスープカフェに来た。
スープカフェとは言っても、ハエは飛び机はカピカピで汚いローカルなお店。

今日はタコのスープが無かった。
仕方がない。
代打で煮干しのスモールフィッシュスープにする。
チャパティ2枚はいつも通り。
このスープ、美味しいのだが煮干しが100匹くらい入っていて飽きるのが難点なのである。


席でスープを食べていると、1匹の野良猫がやってきた。




可愛い。
ここストーンタウンは野生の猫がワンサカいる。
こいつのように痩せ細ったものばかりではあるが。

彼女は明らかにエサを求めている顔だ。
向かいのサイモンがビックフィッシュスープの頭をやると、案の定食い付いている。

それを貪り終えた彼女は、僕に対してお前も出せよと言わんばかりの眼差しを向ける。
スモールフィッシュを1匹与えた。
勢いよく彼女はそれに飛びつく。

すぐに食べ終え、再びこちらに目を向ける。
しばらく無視して食べ続けていると、彼女は僕の膝に乗ろうと飛び乗って来た。
猫は好きだが、いかんせんノミダニ病気が怖いので、思わず振り払ってしまった。

彼女もまた、ザンジバルの民として日夜食を探しているのだろうか。
僕はもう1匹与えた。
食い終えた彼女はどんどんこちらに近寄る。

ーーー彼女の戦略にはまってしまった。
そう感じた。
結局僕は食べ終えるまで、彼女に1匹、また1匹とそれを与えることとなった。

食べ終えて席を立つと、彼女は出口までついて来た。

「この人間たちについていけば無限に食べ物を与えてくれるかもしれない」
「でもこのカフェはカフェで度々人間が食べ物を与えてくれる」
「リスクを冒してでも彼らについて行くべきか、それともここに止まるべきか」

僕らを出口で見送る彼女の面影は、そう言っているように感じる。
それとも、また来いよと単に見送っているだけなのかもしれない。

人間も猫も飢えたときの心情は変わらないものなのかもしれない。
そう感じながら、僕らはカフェを後にした。